Lets Chita News Vol.57

Lets Chitaさんより同ニュース、第57号をお送りいただきました。
ありがとうございます。

下記に置かせていただきました。


ゲゼル研究会開催のご案内

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ゲゼル研究会開催のご案内

★期日 9月10日(土)
★時間 13時30分~17時30分(開場は13時)
★会場 中京大学名古屋キャンパス・
     センタービル0605教室(6階)
★地図 http://www.chukyo-u.ac.jp/information/facility/g1.html
★テーマ 「大震災後を生きる」
 ◎河宮信郎「金融経済と原子力発電-安全神話の完全崩壊(仮題)

 ◎青木秀和「みちのくの構想力―森野氏の提起をうけて―」
★連絡・問い合わせ先 info@grsj.org

自由経済研究、第36号

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ゲゼル研究会雑誌、「自由経済研究」第36号が刊行されています。

二宮尊徳の空間経済 森野榮一
ぼくらのおカネをつくろうよ 森野榮一・斉藤賢爾
幸福指標をめぐって 奥沢邦成

入手連絡先
ぱる出版 160-0003 東京都新宿区若葉1ー9ー16
電話 03ー3353ー2835
ファックス 03ー3353ー2826

週刊マーケットレターは

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ゲゼル研究会で公開しておりました「曽我純の週刊マーケットレター」は
オールタナティブインテリジェンス
http://altintel.org/
にて公開しております。
どうぞよろしくお願いいたします。

みんなで考える道徳、6年生

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日本標準さんに、小学校6年生、道徳の教科書(なのかな?)で地域通貨を取り上げていただきました。

献本をいただきました。

ありがとうございます。

もし小学校6年生のお子さんをお持ちで、幸運にも、日本標準さんの教科書が使われている場合は、よろしければご参照ください。

Lets Chita News 第56号

愛知県知多半島の地域通貨グループ、Lets ChitaさんよりLetsChitaNews第56号をお送りいただきました。

ありがとうございます。

下記に置かせていただきました。


生き残りし者

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一ヶ月経っても、大震災とその後の展開に気が落ち着かない。 

幾度も訪ねたことがある町の壊滅した光景をテレビで見せられ、思い出す挿絵が一つあった。 
第二次大戦の終わり、1945年にスイスのベルンで、シルビオ・ゲゼルの思想を紹介する書物が刊行された。 

「生き残りし者たちに、シルビオ・ゲゼルの思想」というゲゼルの言葉などを集めた平易な解説書である。 

その、「失意、信念、そして希望」という章に、この挿絵がある。

überlebenden.png
 
いま震災と原発事故による黙示録に直面して、同じ状況にあるなと思う。生き残っているという気持ちを持つことから復興へ向かいたい。 (森野榮一)
曽我 純 :

大地震と原発の崩壊で為替、株式市場は大きく揺れた。地震と原発は日本経済に大打撃を与え、元の経済水準に回復するには数年を要するだろう。多数の人命が失われ、精神的ダメージは計り知れず、地盤が沈下しているなど、元に戻らないところもある。原発が収束に向かうのか、メルトダウンがさらに進行し、破局を迎えるのか、によっても日本は大きく左右されるだろう。

円ドル相場は16日のNY市場で一時76円25銭まで円が急騰し、1995年4月19日の79円75銭を約16年ぶりに更新した。投機業者の円買いの動きにみんなが乗り一気に円高に進んだからだ。ヘッジファンドなどの投機業者の為替売買プログラムには過去の地震直後の仔細なデータが入力されており、単にそれに基づいて売買した結果が、このような円高ドル安になった。ファンダメンタルズでは、日本経済は悪化するのだから、円は売られることになるけれども、短期的にはコンピューターのプログラム売買(円買いドル売り指令)が市場で優勢になったのだ。プロの投機業者にアマも追随していったのである。

このような大惨事が発生したときに、頼れるのは過去にどのようなことが市場で起こったか、ということぐらいしかたいていの人は考えられない。阪神大震災後に円高に突き進んでいるので、市場参加者は、今回も同じようなことが起こるだろうと予想したことが、円高の大きな流れを作ったはずだ。だから、一旦円買いドル売りのプログラムに基づき売買が執行されてしまうと、その後、円高ドル安は長くは持続しないはずだ。しばらくすると、地震・原発が日本にどのように影響するかわかってくるので、そうした通常の情報を頼りに売買する姿勢が強くなり、コンピューターによる猛烈な円買いという一時的な偏った売買は影を潜めることになる。

18日、G7は急遽電話会議を開き協調介入を発表したが、当局はプログラム売買の短期的な特性を十分に理解していないのではないか。16日に付けた76円台は瞬間であり、同日、NY市場は79円60銭で引けており、介入などしなくても元の水準から大幅に乖離することはない。今回のようなM9.0という大地震は市場でなかなか消化されず、円高期待が円高をもたらすという形で円高が進行していった。だが、ファンダメンタルズと異なる理解不能な現象など長期間続かない。期待だけに基づく不確実性の高い状況下で、そのようなポジションを長く持つとリスクが大きくなりすぎ、円買いのポジションをすばやく手仕舞わなければならないからだ。だから自然に円買いドル売りは収まり、急激な円高ドル安は修正されることになる。鳩首会議で強調介入したことは当局の為替にたいする知識や能力の欠如を示すものだ。

さらに言えば、為替や株式が乱高下する原因を作り出したのは政府・中央銀行であり、彼らが放ったマネーが暴れ馬のように荒れ狂っているのである。日銀は14日以降、日銀当座預金を増やしており、18日には32.7兆円と前週比15兆円も増加している。貸出の前年割れが続き、金融機関は余剰資金の使途に困っている状態で、むやみに現金を増やしてなにになるのだろうか。そうした金が必要なところへ向う保証などなにもない。日銀がなすべきことは現金を被災地に確実に届けることくらいだ。為替や株式の変動を意識した行動にでたのであれば、市場を歪めるだけでありお門違いだ。ゼロ金利を長期間続けるなど、日銀の金融政策は限界点にとどいており、なにかをできるなど考えないほうがよい。

日本の生命保険会社が外債などの有価証券を売っているから、円高になっているのだという話を聞くが、日本の超保守的な主体性のない生保などが、そのような行動を取れるはずがない。阪神大震災のときもドル資産を売却したような行動は取っていないし、そもそもそのような決断力など持ち合わせていない。為替・株式市場を牛耳っているのは外人であり、市場が激しく変動したのは、かれらが円買い、債券買い、株売り注文を出し、その動きに国内勢は釣られて動いているだけだ。
日本株についても為替と同じで、2日で16.1%も急落したのは外人の売りである。そもそも外人が東証1部の売買高の6割以上を占めていることから、日本株市場は完全に外人の領地なのである。決断力に乏しい日本人には株式や為替のような相場には向いていないのかもしれない。おまけに資産運用の歴史も短く、運用者の質にも問題がある。生保や銀行などが為替や株価の変動に一喜一憂するようでは困るのだ。

自由に変動することによって均衡に至るという理屈に基づき作った市場を「想定外」という言葉ですべてを反故にすることはとうてい許されることではない。日本の90年代のバブル崩壊以降でも「想定外」の現象はしばしば起こった。金融機関は巨額の損失を抱え二進も三進もいかなくなり、国の介入でなんとか生き延びた。結局、「想定外」で行き詰まれば、あっさり自己責任は放擲され、国民が負担し面倒をみなければならなくなる。

市場主義がまったく貫徹できないにもかかわらず、小泉政権は米国の尻馬に乗り、規制緩和、市場万能を高らかに宣言した。だが、08年の米不動産バブル破裂により、日本経済の落ち込みは本家よりも激しく、米発の津波により国内経済はずたずたにされた。

今回の原発も「想定外」で処理されかねない。『原子力損害の賠償に関する法律』によると、賠償額は1事業所当たり1,200億円以内であり、それを超える場合には国が面倒を見ますということが決まっている。さらに「損害が異常に巨大な天災地変により生じたものであるときには、この限りではない」。今回の地震が「異常に巨大な天災」に当たれば、東電は賠償を免れることになるのだ。かつての巨大銀行が生き延びたように、独占企業は法律で存続できるような仕組みが整備されていた。

原発事故がおこらなくても、原発が稼動するかぎり核廃物は増加しつづける。国債の増加が憂えられているけれども本当に憂えなければならないのは核廃物である。09年度に原発で発生した放射線固体廃棄物は72,425本(経済産業省、『平成21年度 原子力施設における放射性廃棄物の管理状況及び放射線業務従事者の線量管理状況について』、一本=200リットルドラム缶換算)、前年比7.1%増である。年度末の保管量は3.9%増の648,453本と6年連続増である。これ以外にも「ふげん」、「もんじゅ」といった研究開発段階の施設、さらに加工施設、再処理施設からも核廃物は多量にでてくるのだ。実用原発だけでも保管量は牛乳パックで約1.3億本、国民1人当たり約1本抱えていることになる。

核廃物の増加によって放射能を浴びるリスクは高くなり、しかもこうしたゴミに永久に金を注ぎ込まなくてはならない。国債は国が借入れを印した紙でできた証書で、今は額面100万円であれば年1.2万円の利子がもらえる。が、核廃物はコストが掛かり、その上、放射能を完全に封じ込めることは不可能であり、生態系を汚染する。何千年、何万年もだれが保管するのだろうか。「想定外」を作り出しているのは、原発を作り動かしている国と電力会社なのである。「想定外」を非難しながら自ら核廃物という「想定外」の忌わしい世界を作りだしているのである。米住宅バブルを作ったのは金融機関であり、金融機関のでたらめな貸付が「想定外」を作り出したが、それと原発のメルトダウンや核廃物の問題は、当事者の思い上りから招いた人災という意味では同根なのである。

さらに酷いのは原発で働いている従業員の格差だ。福島第1原発の従業員は09年度、10,303人(経済産業省)いるが、このうち東電の社員は1,108人と全体の1割ほどであり、9割方は協力企業の人たちだ。雇用機会の少ない地元住民にとっては「安全な原発」で働けることは、安定した収入を得ることのできる職場であった。だが、これほど東電社員を少なくしているのは、人件費だけでなく、リスクの高い職場だからである。平均線量は東電社員の0.8ミリシーベルトに対して協力会社の社員は1.5ミリシーベルトと東電社員の約倍の放射能を浴びている。国際放射線防護委員会では1ミリシーベルトの被曝で将来10,000人に1人のガン発生が考えられるとしており(原子力情報資料室)、微量の被曝でもガンに罹るリスクは高いのである。協力会社の社員は1ミリシーベルトを超えており、将来、ガンが発生するリスクは東電社員よりもはるかに高くなる。

原発従業員の総計は83,489人、内訳は電力会社の社員9,210人、協力会社の社員74,279人と福島第1とほぼ同じ構成である。平均線量をみると電力会社社員、協力会社社員は0.3ミリシーベルト、1.1ミリシーベルトといずれも福島第1を下回っており、福島第1の職場環境が劣悪であったことがわかる。福島第1の協力会社社員は09年度で1.5ミリシーベルトだったが、2000年度には2.7ミリシーベルトも被曝していた。東電社員は0.8ミリシーベルトと09年度と変わらず、福島第1は放射能漏れが際立った原発だったといえる。

「安全な原発」といいながら原発の運転の大部分は協力会社の社員を使い、手の汚れる現業部門はほぼかれらに任せていた。大惨事になっても現場で働くのは協力会社であり、東電社員は傍観するしかないのだろう。社長がほとんど姿をみせず、情報開示が杜撰であり、停電の連絡も混乱をもたらすなど、会社のこうした動きをみていると、ますます人災の思いを強くせざるを得ないのは私だけだろうか。

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曽我 純;

週末値でも原油価格は1バレル100ドルを突破し、08年9月以来の高水準に上昇した。そのほかの商品価格も上昇し、CRB指数は3ヵ月で14.7%高くなり、その上昇率はNYダウの2倍以上になった。商品価格の急騰のわりには債券価格は安定しており、物価上昇による需要減、景気悪化というプロセスを早くも意識しているようだ。

トルシェECB総裁の早期利上げ発言によって、ユーロの短期金利は上昇し、ユーロは買われた。2月の米非農業部門雇用者数は前月比19.2万人増と昨年5月以来の高い伸びとなったが、ユーロ高に変化はなかった。これで非農業部門雇用者数は5ヵ月連続増だが、昨年2月の底からの増加数はまだ126.9万人にすぎず、08年1月をピークとする875万人減の14.5%を取り戻しただけであり、雇用が本格回復したとはとても言えない。2月のISM製造業景況指数は61.4と7ヵ月連続で前月を上回り、04年7月以来の高い水準だが、1月の個人消費支出は前月比0.2%にとどまり、消費が復調したとはいえない。原油高が持続すれば、消費マインドを冷やすことになるし、住宅価格の下落はさらに消費意欲を減退させるだろう。住宅価格の下落はしばしの遅れをともない、消費支出に影響し、延いては足元改善している雇用にも再度過剰感が広がるかもしれない。住宅価格が再調整に向っている一方、農地価格が急騰しつつある。小麦、大豆、トウモロコシの価格騰貴などにより農地は激しく値上りしている。2010年のアイオワの農地価格(インフレ調整後)は1979年のピークに近づきつつある。農地はバブル化の様相を呈しており、バブルが破裂することになれば、金融機関の不良債権が急増し、米景気は腰折れするかもしれない。

好調な企業業績が株高に結びついていると言われているが、実際の数値をみると、業績はピークアウトしており、株価は他の要因で高くなっていることがわかる。財務省の『法人企業統計』によると、昨年10-12月期の全産業の売上高は前年比4.1%と伸び率は2四半期連続で低下し、営業利益は28.9%と3四半期連続の鈍化となった。大企業(資本金10億円以上)を取り上げてもほぼ同じ傾向を示しており、業績拡大の勢いは衰えてきており、今年1-3月期は減収減益になることもあり得る。こうした業績の伸び率低下は設備投資に顕著にあらわれている。全産業の10-12月期の設備投資は前年比3.8%と前期よりも1.2ポイント低下し、低空飛行が続き、失速しそうだ。企業は先行きに自信が持てず、期待収益率が低下していることも、企業の設備投資マインドの改善を遅らせている。売上高営業利益率は3.7%と前年よりも0.7ポイント高く、自己資本比率も36.7%、同0.7ポイント上回り、利益率や財務内容は改善しているけれども、企業の姿勢は慎重なままである。なぜか。

企業が設備投資に踏み出すことができないのは、利益の多くは、人件費を抑制した結果であり、売上高の伸びに匹敵する給与等を支払っていたならば、これほどの利益を出すことができなかったことを十分に承知しているからだ。出すものも出さず利益を嵩上げする行動を大半の企業が実践したのだ。売上高は4.1%伸びたが、人件費は1.4%、人件費の65%を占める従業員給与は1.2%にとどまっている。

1人当たりの売上高は3.4%伸びているが、1人当たりの給与(賞与を含む)は1.3%と低く、これで4四半期連続して後者が前者を大幅に下回ったことになる。人件費を抑えたことなどで売上原価と販管費の伸びも売上高を下回り、営業利益の拡大につながった。人件費の伸びを売上高並みに増やしていれば、営業利益の伸びは17%に低下することになる。利益の源泉は人件費削減と輸出増であったため、企業は業績改善を素直に喜べず、国内最終需要の回復は期待できないと予想し、設備投資に踏み切ることができないのだ。今の業績回復が長続きしないと想定すれば、設備の拡大を抑えることになるが、そのことが企業収益をさらに悪化させるという連鎖が起こる。外需の支えがなくなれば、そのような連鎖によって、企業収益の減少は一気に加速することになる。
  
1月の鉱工業生産指数は前月比2.4%と3ヵ月連続で前月比プラスとなり、回復軌道に乗ったようにみえるが、出荷の伸びは1.1%と2ヵ月連続して生産の伸びを下回り、在庫は4.7%も急増、09年2月以来約2年ぶりの高水準となった。在庫がこれだけ増加したのは、昨年末ポイントが半減した液晶テレビ等の販売減と国内新車販売の不振による。液晶テレビに関連する情報通信機械工業の出荷は前月比16.1%減と2ヵ月連続の大幅減となり、在庫は40.7%と急増した。輸送機械工業も出荷が生産の伸びを下回り、在庫は19.5%と3ヵ月連続で増加した。液晶テレビや自動車の在庫急増によって、1月の耐久消費財の在庫は07年12月以来、約3年ぶりの高水準に積み上がった。
生産指数の前年比伸び率は4.7%と昨年3月をピークに低下している半面、在庫は7.3%と1998年3月以来約13年ぶりの高い伸びとなった。出荷は3.2%と生産を下回り、思うようにモノが出て行っていない様子で、意図せざる在庫が工場や倉庫に積まれているのだ。これほどの在庫の伸び率は、1980年代以降の30年間で6回認められるだけであり、稀なケースに入る。在庫が上昇する過程で、景気はピークを付けていることから、今回の在庫増も景気後退につながる可能性がある。

生産指数は前年比4.7%伸びているが、一般機械工業だけで引っ張っており、それの寄与度は4.3%ときわめて高い。一般機械工業のなかでも半導体製造装置やフラットディスプレイ製造装置の伸びが突出しており、これら一部の製品の生産拡大が、鉱工業生産指数全体を動かしているのだ。だが、電子部品デバイス工業の在庫は前年比53.8%も増加しており、生産調整しなければならない状態に陥っている。生産削減を迫られているときに、半導体製造装置を求めるようなことはしないはずだ。鉱工業生産に対する半導体製造装置の影響が大きいため、半導体製造装置の動向によっては、鉱工業生産は下振れするかもしれない。MEDIA GALLERY?


半導体等電子部品の輸出も1月、前年比12.6%減少し、外需も弱くなってきている。半導体電子部品を含む電気機器が1月、前年比7.5%減少し、輸送も0.2%の微増になるなどで輸出総額は1.4%まで低下しており、前年割れになりそうである。そうなれば、外需依存の高い鉱工業生産や機械受注は厳しい状況に追い込まれることになる。
『家計調査』によれば、1月の消費支出(2人以上の世帯)は前年比-0.9%と5ヵ月連続のマイナスとなり沈んだままだ。勤労者世帯に限れば、可処分所得が3.3%も減少したことから消費支出も1.2%前年を下回った。有効求人倍率は緩やかに改善しているが、失業率は前月比横ばいの4.9%である。男性失業率は5.3%と0.1ポイント低下したが、3月は跳ね上がるかもしれない。内需が大きく上向くシナリオは描けず、このまま輸出が前年割れにでもなれば、09年3月を底に拡大してきた景気は後退に突入するのではないだろうか。

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圧政のリスクを喚起する

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曽我 純 ;

チュニジアのベンアリ政権崩壊がドミノのようにアフリカの独裁国家を揺さぶり、強権政治に引導を渡している。リビアが石油産出国であるため、原油相場が高騰し、これによって景気の先行きに不安が生じ、株式は調整を強めつつある。

先週末、WTIは97.88ドル、前週比13.5%も上昇し、08年9月以来の高値を付けた。特に、米国の個人消費は原油高に敏感であり、これまでも原油が高騰するときには消費がダメージを受けたことが、景気の先行きを暗くした。

景気や企業業績悪化懸念から主要国の株式は売られ、国債は買われ、原油高の影響が米景気により強く働くという見通しから対円・ユーロでドルは売られた。

アフリカ独裁政権崩壊の影響がアフリカだけにとどまらず、アジアなどに波及すれば、そのインパクトは計り知れない。共産党一党独裁の中国にもすでにその兆候はあらわれており、自由を抑圧していたマグマは一気に噴出しかねないし、いずれは大爆発し、独裁体制は滅ぶだろう。

日本をはじめ世界中の企業が中国に進出してきたが、一党独裁で政治、言論に自由のない国へ進出するリスクはきわめて高いことを肝に銘じるべきだ。マルクスによれば下部構造がその他すべてを規定するが、経済よりも自由が高位にあることをわすれてはならない。政権が崩れ、新政権が樹立されれば、すべては没収されることになるだろう。目先の利益ほしさに、みんなで渡れば怖くないという浅はかな考えで、出て行いけば、最終的にすってんてんになってしまうことを覚悟しておかねばならない。

企業は中国の政治支配のようにトップの経営者が権力を握っており、支配している仕組みになっている。中小企業の多くはアフリカの軍事国家のように、すべては経営者の思うままに、経営されているのだ。そのような企業では合理性、効率性とかのものさしは通用しない。トップの顔色を窺いながら、意思決定はなされ、理不尽な意見が通るのである。大企業経営者の権力の振る舞いは強弱あるけれども、権力構造が中国のそれと似ていることが、中国へ躊躇なく進出していることと関連があるように思う。政治体制は問わず、安い労働力を利用して金儲けができればそれでよいというのが、企業の行き方なのである。独裁政権に手を貸していることなど、頭の片隅にもないのだろう。

アフリカの軍事国家が転覆しかけると、欧米諸国は軍事政権を非難するが、それまでは軍需品を供給しながら、軍事政権を支え、政権維持に手を貸してきた。特に、旧宗主国である欧米諸国はいままで軍事政権と結託し、互いに甘い汁を吸ってきたが、軍事政権の是非にはまったく無頓着であった。欧米は民主主義を唱えながらも、アフリカをその程度の扱いしかしてこなかったことを、今回の激変はあからさまにした。

経済の変化は悪くなるときは速いが、今回の政権崩壊のプロセスをみても、政権の変化は激変であり、これに的確に対応することは不可能である。1月半ばにベンアリ政権が倒れ、2月11日にムバラク大統領が辞任しても、株式市場は遠い出来事のように、気に掛けず上昇を続けていた。経済的というか金勘定だけで判断し動いたことの限界が露呈したともとれる。

■ 現行の金融政策はマイナス成長では通用しない

アフリカの圧政が倒れたのは、必需品の価格上昇による困窮を起爆剤とし、抑圧により鬱積していた精神的苦痛から解放されたいという要求が強まったからだ。物価の上昇は弱者の生活を直撃する。小麦やトウモロコシ等の価格の異常な値上がりはぎりぎりのところで生活している人たちを追い込んだ。

素原料材価格の上昇を主導したのは米国や日本の金融政策である。FRBや日銀のなんら根拠のない思い込みによる金融政策が、世界的弱者の生活を追い詰めた。日米の金融政策はまさにカネを世界にばら撒き、投機を後押ししている政策といえるだろう。新興国は金融引き締めに転じているが、経済や金融の規模に大人と子供いやそれ以上の格差があるので、新興国の金融政策では制御できず、防ぎようがないのである。ニューヨークやロンドンなどからホットマネーが津波のように押し寄せてくれば、ひとたまりもなく呑み込まれてしまう。1997年のアジア金融危機の経験はほとんど活かされていない。カネの出入りをチェックするなんらかの仕組みがなければ、小国は大海に浮かぶ小船のように大国のマネーに翻弄されるだろう。

08年の金融危機によりさまざまな改革案が出されたけれども、巨大金融機関、投資信託、ヘッジファンド等のカネの動きを規制する改革は実行されていない。オフショアやオフバランスの勘定なども放置されたままであり、金融機関の実態は依然きわめてわかりにくい。目に見えない部分が大きすぎて、実際のバランスシートでは正体を摑むことができない。こうした正体不明の法人のカネを野放しにしていれば、社会的に好ましいところに投資され、経済が豊かになるのではなく、社会の歪みを大きくする危険性のほうが大きい。為替、株式、商品市場には日々巨額の資金が流出入しており、これらの流れを監視することなどとてもできないだろう。せいぜい取引コストを引き上げるような課税を国際的に導入することくらいの手立てしかない。

米国では6,000億ドルの国債買い取りのプログラムを実行中だが、1月の米商業銀行の商工業と不動産貸付は依然前年を下回っている。これだけ買いオペをしても金融機関から市中にはなかなかカネが出て行かないのである。市中に出回らないことは、こうした買いオペは機能していないといえる。自国経済の拡大に結びつかず、新興国の経済を危機に陥れる金融政策が平然と続けられている。

日銀の金融政策もいまの日銀政策委員のメンバーで金融政策を実施することが相応しいのか疑問であり、再度、検討する必要がある。異常な低金利を16年も続けていながら、国内需要は確りした足取りを取り戻せないことは、そのような金融政策は今の日本経済に通用しないことを証明している。抗がん剤のように、副作用が大きく、金融政策で日本経済は衰退しているといえるかもしれない。

通常の金融政策は、経済がプラス成長し、物価が上昇している状態では通用する。だが、1994年をピークにGDP物価指数が下落しているようなデフレ経済では、日銀の金融政策は無力なのである。2010年のGDP物価指数は88.8と12年連続で低下し、1981年以来29年ぶりの低い水準である。1990年代のはじめを境に日本経済はがらりと変わったが、その変化を見ようともせず、従来通りの金融政策を踏襲してきた。

株式・不動産バブル破裂の衝撃は深くて長い。放置していた不良資産の山が実体経済を蝕んでいったのである。『国民経済計算』によれば、日本の総資産から負債を差し引いた正味資産は09年末、2,712兆円、1991年のピークから819兆円減少した。不良資産処理に伴う正味資産の急激な減少により消費は低迷し、1992年でほぼ物価上昇は止り、デフレに陥った。だが、当時、政府や日銀などは日本経済をデフレとはとらえず、それまでと同じような処方箋で経済の舵取りができると思っていた。

2010年までの10年間のGDP物価指数は年率1.2%減であり、名目GDPは同0.5%のマイナスである。マイナス成長でデフレの経済状態では、国内で貨幣需要はプラスになることはなく、創出されたカネは需要不足を補うための財政赤字に用立てられるほかは、海外へ流出することになる。全国銀行勘定をみると、銀行の国債保有高は1993年の28.7兆円から2010年には146.2兆円へと増加する一方、貸出は479.9兆円から420.4兆円に減少している。国債の増加から銀行の総資産に占める有価証券の比率は16.3%から29.9%に上昇した。これからの10年間もマイナス成長は不可避であり、銀行の貸出は減少し続けるだろう。ゼロ金利と買いオペという従来の金融政策では、こうした逆境に立ち向かうことはできない。

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