曽我 純:
1980年代以降のマネタリズム、合理的期待理論が学界を席捲し、米国社会は市場原理万能主義に染まってしまった。1975年、株式委託手数料の自由化、取引所集中義務の撤廃がなされ、1983には預金金利自由化が完了し、金融資本市場も市場原理が貫かれることになった。80年代のはじめ第2次石油危機による激しいインフレに見舞われ、長期金利は急騰したが、それも1984央にはピークアウトし低下していった。長期金利の低下により、資本の現在割引価値は上昇する。当然、企業の資産価値も上昇し、実際のバランスシートに記載されている数値を上回っていく。長期金利の低下につれて米株価は力強い上昇基調を描いていった。
米国民所得統計から金融部門と非金融部門の利益の推移をみると、80年代後半から金融部門の利益の拡大が顕著になっていることがわかる。1929年を100として指数化すると、1985年にはほぼ同じ値であったが、1990年になると、両者の差は一気に開き、この傾向は2006年まで続いた。長期金利の長期低下による株式価値の増価に加えて、銀行・証券の分離政策(2000年)が実質撤廃されたことなどが、金融部門の肥大化に拍車を掛けた。
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